抄録
本稿では,英語イマ―ジョン校の中学部におけるICTによる対話的学びを取り入れた国際理解教育・異文化理解教育の実践について報告する。現職教師対象のラオス実地研修に参加した際に得た工芸品・記録写真や,現地での取材インタビューレポートの展示により生徒の気付きを促した後,ポストイットのコメント共有を経て,上級生(中学3年生)はテーマに沿ったラオスを紹介するバイリンガル動画の制作を行う一方,下級生(中学1年生)は制作された動画を鑑賞した。最後に授業時間外にサイレントディスカッションとして,共有クラウド上でお互いにコメントをやり取りした。生徒同士のコメントをテキスト分析した結果,生徒たちのラオスに対する関心は深まったことがわかったが,不発弾に関することなどのラオスの課題について学びを深める場面においては,課題も残った。より効果的な授業を目指すには,担当する教員の資質向上や授業改善が今後の課題であることが示された。コロナ禍のZoom遠隔授業などで,共に学びを深めた他校の教師とお互いの専門性を活かした授業を行い合うなど,ここ数年で進化したICT活用が,今後の有効な方策のひとつとして期待される。