抄録
学習者の語用論的ストラテジーを調査する中間言語語用論や学習者母語と目標言語のストラテジーを比較する対照語用論の研究などでは、学習者や目標言語母語話者に対して発話の調査を行い、言語運用の実体を解明することに主眼を置いている。一方、学習者が犯す語用論的誤りの研究は、日本において管見の限り少なく規模が非常に小さい。しかし、中国では数多くの研究成果があり、それらの手法は様々な示唆を与えてくれる。本稿では外国人に対する中国語教育を中心に研究手法、特にデータ収集法を概観した。その結果、多くの接触場面として「友達」に対して、多肢選択形式で解答を選ばせるものであり、当該発話を誤りと認識する研究者の価値観が大きく反映されているものであった。「友達に対する発話に正解はあるのか」という哲学的問いから、多肢選択を使用したデータ調査が如何に不確定要素が多いのかを論じた。