1960 年 11 巻 4 号 p. 216-217
これまでわが国の都市の建物内外に棲息する鼠は普通Rattus rattusおよびR.norvegicusを優占種とするものであり, Musについてはその棲息状況が明らかでなかつた.最近東京郊外に, Musを優占種とする比較的新しい鉄筋コンクリート造りのアパート集団があることを知り, これを調査した.これらアパート内で, 捕そ器により6頭のハツカネズミMus musculus(3雌, 3雄)を, 付近の草地からドブネズミR.norvegicus(1雌)を得た.質問法, 視察法によつても, このアパート集団にはMusが広く分布することを確かめた.なお本種の屋内侵入孔は1〜2cmの小さいもので, 今後の防鼠建築は, この点を考慮して設計されることが望まれる.