衛生動物
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イエバエ成虫の駆除効果判定法に関する一考察
平社 俊之助
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1962 年 13 巻 1 号 p. 70-82

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抄録
室内的及び準野外実験によつて, イエバエ成虫の駆除効果判定法について幾つかの検討を行つた.各種の判定法は, イエバエ成虫の各種条件によつて起る係留場所の変化, その活動の活溌, 不活溌によつて, その結果が左右されることを確めた.一年間に亘り, 自然の温度条件で, 一定のイエバエを放ち, ハエとり紙を用い観察した結果, 温度によつて著しく, その捕獲係留ハエ数が変動することを認めた.フライグリルによる方法とハエとり紙5分放置による方法の間には, 本質的に, その差は認められなかつた.また, その他の判定法についても, いくつか検討を加えた.イエバエ成虫の異なる数を, ある一定の室に放した場合, 放逐ハエ数が増大するに従つて, 各観察面に係留したハエの数及びハエとり紙に捕獲された数も増加したが放逐ハエ数と観察または捕獲ハエ数の間には, 直線的な比例関係は必ずしも認められなかつた.イエバエ成虫は一般に, 温度の低い時, 満腹の時, 羽化してからの日数が少い場合, 活動がにぶくなる.そして, 活動がにぶくなつた場合は, 天井, 側面等, 室のすみに多く係留し, 活溌な時は, 室中央, 床面近くに多く飛来する様である.
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© 1962 日本衛生動物学会
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