衛生動物
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アオバアリガタハネカクシ成虫に対する各種殺虫剤の効力について
井上 義郷
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1962 年 13 巻 4 号 p. 271-274

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抄録

1962年春以来, 局所的ではあるが, 関東各地, 特に茨城県などで, 有毒甲虫アオバアリガタハネカクシPaederus fuscipes Curtisの異常発生がみられた.そして本種に由来する被害として, 線状皮膚炎, 眼障害などの患者の発生も多数認められるに至り, その駆除対策が要望された.もちろん駆除対策は彼等の生態, 習性などから総合的に検討さるべきであるが, その一つの手段として殺虫剤の利用が考えられる.しかしながら, 本種に対する殺虫剤の「ききめ」そのものすら, 未だ実験的には確められていないようであり, 本種に最も有効な殺虫剤の種類をまず明らかにすることが, 駆除対策の基礎として重要と考える.この機会に防疫用として現在広く実用されている主要な7種類の殺虫剤を選び, それらのアオバアリガタハネカクシ成虫に対する接触毒性を実験室的に検討したので報告する.本文に入るに先だち, 常々御指導を頂いている予研衛生昆虫部の朝比奈正二郎部長, 安富和男博士, また供試虫の採集に御教示あるいは御援助頂いた, 加納六郎(東京医歯大), 川島恂二(古河市), 堀徹・大久保茂(陸上自衛隊古河駐とん地), 緒方一喜・久保田和美(予研)の諸氏ならびに茨城県環境衛生課, 古河保健所の関係者の各位に謝意を表する.なお, この報告の一部は第14回日本衛生動物学会東日本支部大会で講演した.

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© 1962 日本衛生動物学会
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