衛生動物
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食餌混入法および浸漬法による Metepa, Hempa のチカイエカに対する不妊効力試験
斉藤 一三林 滋生
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1967 年 18 巻 2-3 号 p. 122-126

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抄録

1.食餌混入法および浸漬法によるMetepa, Hempaのチカイエカに対する不妊化の室内実験を行い, 不妊率の他に産卵率, 平均産卵数等におよぼす影響をあわせて観察した.2.成虫に対して雌雄ともに処理した場合Metepaの0.1, 0.01%の濃度では夫々83.7%, 78.2%の不妊率であつたが, 0.001%の濃度では殆んど効果がなかつた.3.同様な場合, Hempaは0.1%の濃度で91.3%の高い不妊率が認められたが, これより低い濃度では効力の急激な減少がみられた.4.Metepa, Hempaの両薬剤は雌雄両方に不妊作用があり, Metepaは雄, 雌同程度の効果を示めしたが, Hempaは雄より雌に対して効果が高かつた.5.Metepa, Hempaの成虫に対するSC-50値は夫々0.01〜0.001%の間およびほぼ0.01%であつた.6.処理した雄においても, 交尾率や交尾欲の低下は認められなかつた.7.Metepaの0.1%, Hempaの1.0%の濃度ではチカイエカ幼虫に対して毒性が高く, 殺虫効果がみられた.8.幼虫に作用させた場合, Metepaの0.01%, Hempaの0.1%でかなり著しい産卵抑制ならびに高い不妊率を示めしたが, これ以上希釈すると急激にこれらの作用は低下した.したがつて幼虫に対する場合殺虫濃度と不妊化濃度との差が狭いことが観察された.

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© 1967 日本衛生動物学会
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