抄録
1967年と1968年の夏, 千葉市にある農林省畜産試験場で, ブラックライトブルー螢光管6Wを付したライトトラップを使用して, 時間別および地点別に蚊を採集し, コガタアカイエカ雌成虫についてその年齢構成を検討した。ライトトラップで採集されたコガタアカイエカ雌成虫は, いづれの場合もN〜I・II期の濾胞をもつもの, いいかえれば吸血前後の個体が多かつた。しかし, その構成は採集時間によつて多少異なり, 後半夜に採集されるものでは経産蚊の比率が高く, とくに濾胞柄部がサック状で産卵直後と思われる個体が多くなつていた。また採集地点別にみると, 地点毎に年令構成は異なり, 幼虫棲息場所に近い地点ではNo期, N〜I・IIおよびV期とその構成要因は多いが, 吸血源となる豚舎付近などではN〜I・II期の吸血前後の個体が圧倒的に高率で, 他の濾胞状態のものは稀であつた。