1973 年 24 巻 2 号 p. 111-116
低毒性有機燐殺虫剤Dowco 214の蚊幼虫, 蛹および成虫に対する殺虫効力を浸漬処理法および噴霧降下法によって, また水道水ならびに汚水中における残効性を生物学的方法によって, 数種市販殺虫剤と比較評価した結果は, つぎのように要約される。1. 浸漬処理法においては, ネッタイシマカおよびアカイエカ幼虫に対し, Dowco 214,chlorpyrifosがfenitrothion, fenthion, diazinonに比し高い殺虫効力を示した。しかしシナハマダラカ幼虫に対しては, fenthion, Dowco 214,fenitrothion, chlorpyrfosおよびdiazinonの順で高い殺虫効力を示した。2. 浸漬処理法による試験においては, ネッタイシマカの蛹に対し, Dowco 214およびchlorpyrifosが高い殺虫効力を示した。3. 噴霧降下法によるネッタイシマカ成虫に対する殺虫効力は, pyrethrin, dichlorvos, diazinon, Dowco 214,chlorpyrifosおよびfenitrothionの順で高かった。4. 動物飼料を腐敗させて作成した汚水におけるDowco 214の著しい経時的な殺虫力の低下はなく, 残効性も期待出来るものと考えられる。