衛生動物
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トウゴウヤブカにおける white-eye, hairlessantenna, pigmented pupa の遺伝子配列と優性突然変異体 extra-jointed palp について
只野 長夫
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1980 年 31 巻 4 号 p. 255-259

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抄録
トウゴウヤブカAedes togoiの突然変異体のうち, hairless-antenna (ha)とwhite-eye (ω)とは第2連鎖群のpigmented pupa (p)遺伝子座位から同じ方向に連鎖していることをすでに報告した。それによると, haはpから18∿23map unitの距離に存在し, また, ωはpから31∿47 map unitの位置に存在する。この組換距離からみれば, 遺伝子配列はp-ha-ωの順であるように考えられる。しかし, 前報では3点実験でその配列は確かめられていない。そこで, 今回, p, ha, ωを用いた3点実験で遺伝子配列がp-ha-ωであることを確認した。pとhaとの組換距離は11.9∿38.4map unitであった。このように交配実験によって組換価に差ができたのは, haの浸透度が非常に低いことに起因する。この蚊では, extra-jointed palp (Ex)ははじめて記載される優性突然変異である。これは雌の触しゅ(palp)にだけ現れる表現型であり, 一種の限性遺伝である。野生型のpalpにさらにもう1節(segment)が追加されたもので, この余分な1節は白鱗でおおわれている。Exも浸透度が悪いが, 第2連鎖群のru (ruby-eye)から32.5 map unit以上離れたところに位置していることがわかった。
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© 1980 日本衛生動物学会
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