衛生動物
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屋外飼育ヤマトゴキブリの生活史観察
小宮山 素子緒方 一喜
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1981 年 32 巻 2 号 p. 111-115

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抄録

ヤマトゴキブリの年間を通した屋外での生活史を解明するため, 1979年4月から1980年9月にかけて川崎市の屋外条件下で飼育観察を行った。1)羽化は主に5・6月の2カ月間にみられ, 明らかな2峰性を示した。2)成虫は4月下旬から翌年2月までみられたが, 6月中旬に最多となり, 9月下旬までには大多数は死亡した。3)卵鞘の産下は5月中旬から10月下旬に観察され, 成虫数が最も多かった6月中旬に最も多くみられた。また, 雌1頭あたりの平均産卵鞘数は約7.4個であった。4)ふ化は6月下旬から9月中旬までみられ, 越冬卵鞘からのふ化は認められなかった。また, 平均卵期間は24.2日∿34.0日であったが, 夏季に向かって徐々に短縮する傾向が認められた。ふ化卵鞘率, ふ化卵鞘中のふ化幼虫数は各々平均で52.2%, 11.5頭であった。5) 6月下旬から9月中旬の間にふ化した個体は, すべて3∿9令前後の幼虫で越冬した。これらは翌年の5・6月に半数以上が羽化した。6) 1978年にふ化し, 翌1979年に羽化しなかった幼虫は, 9令(または過令)で2回目の越冬をし, 1980年5月上旬からの約1カ月間に80.5%が羽化し, 残りはすべて死亡した。

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© 1981 日本衛生動物学会
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