衛生動物
Online ISSN : 2185-5609
Print ISSN : 0424-7086
ISSN-L : 0424-7086
ダイアジノンマイクロカプセル剤のチャバネゴキブリに対する効力の特徴について
桜井 益子黒滝 美音子浅香 四郎海野 登久子池庄司 敏明
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 33 巻 4 号 p. 301-307

詳細
抄録

ダイアジノンマイクロカプセル剤(MC)のチャバネゴキブリに対する効力の特性を明らかにする目的で, ダイアジノン乳剤(EC)を対照薬剤として, 種々の効力試験, 薬剤接触時のゴキブリの行動観察, 虫体の腹部解剖および走査電子顕微鏡によるMCの観察, ガスクロマトグラフィーによるダイアジノン分析を実施した。残効性試験の結果, 温度25±1℃, 湿度65±5%の条件下で, ECはほぼ4週以内に効力が消失したのに対し, MCは34週後も60%以上の残留率を保持し, 100%の殺虫効力を示した。ゴキブリがMCに直接接触すると, 無数のMCが体表に付着するため, ゴキブリが前脚を口でぬぐう頻度が増し, 消化管内に多量のMCが取り込まれ, 〓嚢部に貯留する。この消化管内のMCと, 体表に付着したMCとの影響で, 致死効力が発現する。それに対してECは, 主として体表および気門からの作用が中心となる。MCにおいて, diazinonのゴキブリ虫体への侵入経路が, 経口および経皮によることから, 3分以内の短時間接触においても, 確実な致死作用をもたらすことと, カプセル化によってdiazinonの揮散が抑制され, すぐれた残効性を示すことが明らかになった。以上のことから, MCはECにくらべてゴキブリに対する効力が増強されていることが認められた。

著者関連情報
© 1982 日本衛生動物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top