1983 年 34 巻 4 号 p. 295-298
アエバエ科, マキバイエバエ属のハエは, 加納・篠永(1977)によって日本から6種と1亜種が記録されている。著者らは, これら日本産の標本と南西諸島からニューギニアに至る各地の標本について再検討した結果, M. tarsalis tarsalis (Malloch)と同定されていた種は新種と認められた。M. tarsalis tarsalisは, Vockeroth (1972)によってM. laevis (Stein)のsynonymとされている。本新種は, laevisに類似しているが, 背側板剛毛のまわりに1本ないし2本の小剛毛を有すること, 雄の生殖器の内狭子の先端に切れ込みがあること, 雄の小楯板の側面の短剛毛列を欠くことなどによりlaevisと区別さりる。laevisは, 広く東南アジア, ニューギニアなどに分布し, 日本では南西諸島, 九州南部に生息している。新種に分布している。成虫は, 主に放牧地の新鮮な牛糞上にみられる。日本産マキバイエバエ属の検索表をつけ加えた。