衛生動物
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ヒメフンバエ類の比較生態学的研究 : I. 捕食能力と捕食機作について
佐々木 均
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1984 年 35 巻 4 号 p. 325-331

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抄録

北海道の放牧地に広く分布するキバネフンバエ(S. scybalaria), ヒメフンバエ(S. stercoraria), ニセキバネフンバエ(S. suilla)の3種雌雄成虫間の捕食者としての優劣の検討を, イエバエ成虫を餌食として, 室内において行った。ヒメフンバエの雄成虫が, 1日当り約26頭のイエバエ成虫を捕食する能力をもつと計算されたことから, 捕食者として最も優れていた。反対に, ニセキバネフンバエの雌成虫が1日当り約5頭のイエバエ成虫しか捕食する能力をもたないと計算されたことから, 捕食者として最も劣った評価が得られた。さらに, 捕食されたイエバエ成虫の体に残された穿孔痕の部位を観察することによって, 捕食機作の検討をも合せ行った。3種雌雄とも, 餌密度が高い場合は穿孔数は少なく, Cotterell (1920)の報告と一致した。また, 3種雌雄とも, 頸部, 顔の順で穿孔することが確かめられた。第3,第4の穿孔部位は, ニセキバネフンバエで, 胸部腹板, 腹板節片の順で認められ, 本種の穿孔順序に関しては, Cotterell (1920)の報告と一致した。しかし, 他の2種では, 第3と第4の穿孔部位を確定することはできなかった。

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© 1984 日本衛生動物学会
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