衛生動物
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柄杓のシナハマダラカ幼虫採集能率
岡沢 孝雄茂木 幹義
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1984 年 35 巻 4 号 p. 367-371

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抄録

水田のシナハマダラカ幼虫の絶対密度を推定するために, 柄杓(直径15cm, 深さ3cm)の採集能率を調べた。また採集能率に対し, 稲の発育段階の違いが与える影響を検討した。水田に1m四方のプラスチック枠を設置し, その中にシナハマダラカ幼虫を各齢25,50,100,200,400,800匹/m^2の密度段階で放し, 各段階で50杓すくい, 1杓当りの平均幼虫数を求めた。1杓当りの平均幼虫数は幼虫の絶対密度と高い相関関係を示した。この結果より, 柄杓で得られた幼虫の相対密度は絶対密度に転換できると結論し, それぞれの齢について回帰式を求めた。田植えの後(7月), 穂の出る前(9月)とその中間(8月)に同様の枠を6個設置し, 各齢幼虫密度100匹/m^2で, 各枠内から10杓とり, 稲の発育段階の違いが採集能率に与える影響を調べた。その結果各発育段階で採集された幼虫数には有意の差はなかった。このことから, 稲のある発育段階で得られた柄杓の採集能率はそのまま他の発育段階にある水田にも適用できると結論した。

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© 1984 日本衛生動物学会
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