衛生動物
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パキスタンのカラチにおいて新生児の泌尿生殖器ハエ症の原因となったクロキンバエ
M. A. Jabbar KHANRaana Jabbar KHAN
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1985 年 36 巻 3 号 p. 271-274

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抄録

1983年4月に生後25日の男子のクロキンバエ幼虫による泌尿生殖器ハエ症の1症例が見出された。この子供は来院の約10日前に現地人の民間療法師によって割礼を受けた。採集した三齢幼虫の顕著な特徴から, これらの幼虫がクロキンバエであることが確認された。クロキンバエによる泌尿生殖器ハエ症は文献上も世界で前例がなく, パキスタンのカラチからのクロキンバエ幼虫によって起された症例が世界最初の確実な記録である。クロキンバエ幼虫は本来雑食性で, 動物死体に大発生する。発育は非常に速く, 約10日から25日で卵から成虫になる。この症例ではたぶん雌が傷に直接か, または悪臭に誘引されて, よごれたシーツなどに卵塊を産みつけたと思われる。残念ながら寄生幼虫の正確な数は不明であるが, 治療中に137匹の幼虫が見出され, なお入院前に何匹かの幼虫が発見されている。

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© 1985 日本衛生動物学会
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