衛生動物
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糸状虫症に関する研究 : VIII オオクロヤブカ胸部筋肉内におけるマレー糸状虫幼虫の発育に関する組織学的観察
小林 睦生小倉 信夫山本 久
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1986 年 37 巻 2 号 p. 127-132

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抄録
マレー糸状虫に非感受性である蚊の, 胸部での糸状虫幼虫の発育を組織学的に観察した。感染後24時間までに胸部に移行した大部分の幼虫ではG細胞の分裂がすでに始まっていたが, それらの幼虫の多くは角皮層に形態的異常を示していた。感染後48時間においてはほぼすべての幼虫に角皮層の異常が認められ, 一部の標本では幼虫構成細胞の脱出が観察された。感染後5日の標本では多くの幼虫において角皮層の周囲に色素沈着が観察された。この黒褐色を呈する色素沈着は, 感染後10日の標本においても変化せずに, 5日目以降の標本と同様に認められた。一方前報で明らかにされたオオクロヤブカ腹部体腔内での被嚢化幼虫への宿主細胞の付着は, 胸筋内ではまったく認められなかった。
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© 1986 日本衛生動物学会
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