衛生動物
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広東住血線虫の重要中間宿主としてのアフリカマイマイ Achatina fulica の奄美諸島における生活史観察
又吉 盛健野田 伸一佐藤 淳夫
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1987 年 38 巻 4 号 p. 297-301

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抄録
広東住血線虫とアフリカマイマイの生態的相互関係を知る目的で, アフリカマイマイの卵保有率の周年変動, 成長曲線および殻高別の広東住血線虫寄生率調査を奄美諸島で行った。本貝の卵保有率の周年変動を調べた結果, ピークは6月と10∿12月に見られたが, 後者で産下された卵, 稚貝のほとんどは寒さで越冬できず実質的な産卵期は6月前後と考えられた。自然環境下での本貝の成長を観察した結果, 幼貝は殻高50∿70mmまですみやかに成長したが以後の殻の伸長はほとんど停止した。与論島にて, 殻高別にアフリカマイマイを採集し, 1%塩酸-ペプシン消化法で広東住血線虫の寄生率や寄生数を調べた結果, 殻高49mm以下の貝の感染率は11.7%, 殻高50mm以上では67.9%に上昇し, 小笠原諸島や沖縄島での報告と同様の傾向を示した。アフリカマイマイの成長曲線から, 殻高別の広東住血線虫感染率はアフリカマイマイの生存期間を反映したものと考えられた。
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© 1987 日本衛生動物学会
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