衛生動物
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ドブネズミに寄生する原虫類
松林 久吉田崎 光
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1954 年 4 巻 supple 号 p. 1-5

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抄録

東京都の市街地及び郊外にて捕獲したドブネズミに就て, それに寄生する原虫類を調査した.鼠は全て金網籠にて生きたままで捕獲し, 検査直前にクロロフォルム麻酔にて殺した.捕獲した鼠にはクマネズミ(Rattus rattus)も相当に混在していたが, 両種を必ずしも正確に分類し得なかつたので, 茲では総てドブネズミとして一括記載した.鼠に寄生し得る全ての原虫類を検査対照とするつもりであつたが, Hepatozoon murisだけは除外した.Toxoplasma gondiiには特に注意し, 屠殺後直に脳を生理的食塩水でEmulsionとし3匹宛のマウスの腹腔に注入し, 2-4週後にその腹腔を検すると共に, その脳を同様に新しいマウスに注入した.併し残念ながら今日までToxoplasmaを見出していない.従つて以下記載するものは腸管及び血液の寄生原虫である.検査した鼠数は合計104頭であり, うち雄42頭, 雌62頭であつた.検査期間は1952年7月より1953年5月に至る11ケ月間である.

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© 1954 日本衛生動物学会
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