衛生動物
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満州長嶺ペスト地帯の生態学的観察
篠田 統
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1954 年 4 巻 supple 号 p. 194-199

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抄録

ペストは, 有菌鼠と蚤さえあれば容易に流行する様に考えられ勝ちだが, 元来が野鼠の疾病である本症が人間社会で流行する仕組は, かく簡単ではない.本報は, 満州の二大ペスト浸淫地のうち, 長嶺地区(長嶺, 乾安, 安広大賚, 農安, 開通, 瞻楡の諸県, 並びに郭爾羅斯前旗)を昭和14, 15の両年, 約1ケ月にわたつて実地観察して来た, そのルポルタージユである.委しいデータは持つて帰れず, 偶然残つた若干の写真や地図の書き込みによつて復元したもので, 我れ乍ら不完全なものではあるが, 再調査の望みが殆どない儘に, 思い切つて発表することにした.調査に際して種々お世話になつた前郭旗ペスト調査所の故加藤所長はじめ, 関係諸県の衛生当事者に深甚の謝意を表す.

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© 1954 日本衛生動物学会
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