1993 年 44 巻 4 号 p. 315-326
日本各地で渡り鳥の標識調査のさい, 19種の鳥類からマダニ属5種(Ixodes turdus, I. persulcatus, I. nipponensis, I. pavlovskyi, Ixodes sp.)とチマダニ属4種(Haemaphysalis flava, H. longicornis, H. phsiana, H. wellingtoni)を採集した。これらのうちI. turdus(アカコッコマダニ)の成虫(飛島, 渥美産), 若虫(渥美産)および幼虫(京都)からボレリアを検出した。また, 根室のアオジやアカハラに寄生するシュルツェマダニ幼虫由来の2菌体の蛋白構成は患者由来菌体(JEM1)の蛋白構成と類似した。この成績から, アオジとアカハラはライム病の病原体保有動物として役割を演じていることが強く示唆された。