衛生動物
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北部九州におけるツツガムシ相とその季節的消長
北沢 高司
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1993 年 44 巻 4 号 p. 327-334

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抄録

北部九州の若い自然照葉樹林とクロマツ植林地において, ツツガムシ相とその幼虫の季節的消長の調査を, それぞれ3年間以上, 2年間以上にわたって行った。照葉樹林では, 15種のツツガムシが小哺乳類から採集され, さらに5種が土壌から得られた。多くのツツガムシ幼虫が中秋から現れ始め, 晩春または初夏まで採集されたが, その消長のパタンは種によってやや異なっていた。ミヤイリツツガムシはピークを見せずに年間を通じて出現し, 他の体色が白い数種のツツガムシも長期間にわたって出現した。一方, 体色が赤い数種のツツガムシは短期間のうちに姿を消した。このような事実から, 地中や地下坑道に生息するツツガムシは, 地表に生息するツツガムシより幼虫の出現期間が長いことが推測された。クロマツ植林地からは3種のツツガムシが採集されただけであり, ツツガムシ病の媒介種であるフトゲツツガムシ幼虫は, 10月から4月にかけて冬期にピークを見せて出現した。

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© 1993 日本衛生動物学会
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