1994 年 45 巻 Supplement 号 p. 299-302
1990年, 1992年に行われた文部省海外学術調査の際, ネパールで採集されたホホグロオビキンバエChrysomya pinguis (Walker)の雄の複眼に2型があることが発見された.複眼の上部2/3の個眼が特に大きく, 下部1/3の小さい個眼との境界がはっきりしているdf型(derived form)は比較的標高の低いところで, 複眼の上部2/3の個眼は下部1/3のものから段々大きくなって, 境界がはっきりしないnf型(normal form)は標高の高いところで, しかも, 自然度の高い森林内でみられた.東南アジアの8か国からの標本について2型の分布や環境等を調べた結果, df型の分布はnf型の分布よりも広く, 低地の二次林や人類生活環境にも見られるなど人親和性も強いことが判った.