1996 年 47 巻 2 号 p. 131-138
1994年に行われた「インドネシアにおける媒介動物-寄生虫-宿主動物の生物地理・共進化に関する研究」(文部省海外学術調査琉球大学宮城一郎教授)の際に, セレベス島の標高1,350mの山地で採集された標本を検査した結果, Chrysomyaオビキンバエ属の1新種が見いだされた。ここにChrysomya greenbergi sp. nov.として記載した。本新種はアジア・太平洋地域の熱帯から亜熱帯にかけて広く分布する衛生害虫のオビキンバエChrysomya megacephala (Fabricius)に似るが, 検索表に示したような特徴で検索され, 特に顎の色が黒色であることにより容易に区別される。雄外部生殖器は図示したように種の特徴を良く表している。東洋区とオーストラリア・オセアニア区産のオビキンバエ属の検索表についてはこれまでまとまったものがなかったので, 新種と既知種との関係を知ることと衛生上重要な種を同定する便宜のために全種が検索できるものを作成した。