衛生動物
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インドネシア国ジャワおよびスマトラ島産ブユ, Simulium (Simulium) eximium における幼虫の唾腺染色体および姉妹種分化
Upik Kesumawati HADI高岡 宏行近藤 賢子平井 啓久
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1996 年 47 巻 2 号 p. 139-144

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抄録

インドネシア国ジャワ島プンチャクおよびスマトラ島ダナウラナウに生息するSimulium (Simulium) eximiumを細胞遺伝学的に解析した。幼虫の唾腺染色体の標準マップを作製し, 染色体変異の分析を行った。本種の唾液腺染色体は, 相同染色体が対合した3本(2n=6)から成り, ヘテロクロマチンに富む明瞭な動原体部を有していた。ジャワ島プンチャク集団の雄だけに, 第一染色体の動原体(21A)および近接バンド20Bに増幅したC-バンドのヘテロ接合が観察された。この2つの部位およびその近傍では染色体は非対合であった。このことから, これら2つの明らかな染色体変異を含むハプロタイプは, 雄性決定因子と密接に連鎖しているものと推測される。Y染色体領域分化の有無と集団固有の逆位多型から, ジャワ島プンチャク集団およびスマトラ島ダナウラナウ集団は, 地理的にも隔離されており姉妹種の可能性が示唆された。

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© 1996 日本衛生動物学会
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