衛生動物
Online ISSN : 2185-5609
Print ISSN : 0424-7086
ISSN-L : 0424-7086
ツェツェバエ(Glossina morsitans morsitans)のトリプシン,キモトリプシン様遺伝子の発現解析
芳山 三喜雄山川 稔千種 雄一Wendy C. GIBSON
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2009 年 60 巻 1 号 p. 13-22

詳細
抄録
ツェツェバエ(Glossina morsitans morsitans)は,アフリカサハラ砂漠以南に生息する眠り病の媒介昆虫である.ツェツェバエ中腸ESTから得られたセリンプロテアーゼ遺伝子群のうちGmmtry1とGmmchy1の2つの遺伝子を解析した.両遺伝子ともセリンプロテアーゼに特異的なヒスチジン(H),アスパラギン酸(D),セリン(S)残基を有していることが示された.Gmmtry1とGmmchy1遺伝子のmRNAは中腸後部で特異的に発現し,Gmmchy1の発現は,吸血によって誘導され約48時間後にピークに達した.さらに定量PCR法によりGmmchy1の発現がトリパノソーマ原虫の感染初期において上昇することが判明した.以上の結果から,Gmmchy1はツェツェバエ中腸内でのトリパノソーマ感染初期における原虫排除に関わっている可能性が示唆された.
著者関連情報
© 2009 日本衛生動物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top