日本産ハモンユスリカ属22種の遺伝的関係について

抄録

日本産ハモンユスリカ属22種について，チトクロムオキシダーゼⅠ遺伝子の塩基配列に基づく系統樹を作成した． Polypedilum (Polypedilum) tamahosohigeとP. (Po.) sp.， P. (Po.) pedestreとP. (Po.) tamaharakiやP. (Po.) okiflavumとP. (Po.) tamanigrumは同亜属内でクラスターを作ったが，P. (Po.) nubeculosumとP. (Tripodura) decematoguttatum，P. (Po.) kyotoenseとP. (Uresipedilum) tamasemusi，P. (Po.) nubiferとP. (T.) unifasciumやP. (Po.) takaoenseとP. (U.) hiroshimaenseは異なる亜属間でクラスターを作った．また，Pentapedilum亜属の3種は別々のクラスターに加わった．これらの結果は，ハモンユスリカ属の広範囲の種間で著しい収斂現象が起こったこと，そして進化過程を反映させるためには現在の分類体系を再構築する必要があることを示唆する．