衛生動物
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短報
ブタの死骸から見い出された日本新記録のキアシメマトイキモグリバエ(新称)Siphunculina quinquangula (Loew) (双翅目,キモグリバエ科):白骨期における発生とその法医昆虫学上の意義
岩佐 光啓老川 勝平上宮 健吉
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2013 年 64 巻 2 号 p. 103-106

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抄録

ブタの死骸上におけるハエ類の発生遷移の調査において,白骨期にかぶせた羽化トラップによってキモグリバエ科の一種が採集された.このハエの種名を検討したところ,Siphunculina quinquangula (Loew, 1873)であることが判明した.この種は,ヨーロッパ中部・東部及びウクライナから記録されていたが,日本からは未記録であった.和名をキアシメマトイキモグリバエ(新称)とした.本種は,ブタ死骸の放置後39–43日の白骨期においてチーズバエなどとともに多数羽化したことから,幼虫が骨髄や皮膚片などで発育すると考えられ,死体の白骨期における死後経過時間の推定における指標となりうることが示唆された.あわせて,日本産キモグリバエ科メマトイキモグリバエ属(Genus Siphunculina)の検索表を付した.

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© 2013 日本衛生動物学会
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