衛生動物
Online ISSN : 2185-5609
Print ISSN : 0424-7086
ISSN-L : 0424-7086
原著
2016年から2023年までの静岡県島田市の一皮膚科医院におけるマダニ刺症に関する疫学調査
松谷 雅子夏秋 優 伊藤 宗成伊藤 一成村田 光麻金澤 伸雄
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 76 巻 1 号 p. 7-13

詳細
抄録

2016年~2023年に静岡県内の1つの皮膚科医を受診したマダニ刺症例は754例(男性346例,女性408例)で,年齢は70歳代が最多(240例),月別では5月(226例)が最多だった.種類別ではタカサゴキララマダニ(AT)による刺症が最も多く(717例),部位別ではAT刺症で下半身に多かった.AT刺症のうち150例(20.9%)にtick-associated rash illness(TARI)がみられた.AT症例とTARI症例においてABO式血液型の比率に有意差を認めなかった.TARI症例ではマダニ刺症の既往歴を有する患者が有意に多かった.AT刺症におけるマダニ除去の成功率は,マダニ除去器具を使用した群で指やピンセットを使用した群よりも有意に高かった.マダニ媒介感染症の発症例はなかった.

著者関連情報
© 2025 日本衛生動物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top