2025 年 76 巻 2 号 p. 45-51
トコジラミは国内外で被害を拡大している衛生害虫であり,殺虫剤標的部位のアミノ酸置換による殺虫剤抵抗性が問題視されている.殺虫剤抵抗性変異の分布は世界的に調べられているが,本邦における現況は明らかになっていない.本研究では大阪府を対象として,トコジラミの発生状況と殺虫剤抵抗性変異保有率の調査を行った.本調査では大阪府でのネッタイトコジラミの定着は確認されなかった.また,スクリーニングした全個体がピレスロイド感受性低下に関与する,電位依存性ナトリウムチャネルのL925I変異を有していた.一方,有機リン剤およびカーバメート系殺虫剤抵抗性に関わるアセチルコリンエステラーゼのF348Y変異は検出されなかった.この結果から,大阪府ではピレスロイドによるトコジラミ防除が困難である一方,有機リン剤およびカーバメート剤の有効性が示唆された.