日本組織適合性学会誌
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原著論文
HLA-DNAタイピングの導入と血清学的タイピング結果との相違
西垣 文敬笹木 剛志平野 哲夫新藤 純理脇坂 明美吉木 敬
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1994 年 1 巻 1 号 p. 55-56

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抄録

HLAタイピングは腎移植の際に重要な役割を果たし,特にDR型のマッチングが重要とされているが,血清学的方法とDNAタイピング結果との不一致が指摘されている.そこで,我々は献腎移植希望透析患者106名を対象に,市販DNAタイピングキットを用い,その結果について検討した.106名中,不一致が認められたのは8名(7.5%)であった.原因としてはB細胞分離,良質抗血清獲得の困難性が考えられ,DNAタイピングの必要性が示唆された.また今回我々が使用したSSP法によるキットは簡便で短時間で実施可能なことから,新たにDNAタイピングを導入する施設にとってはその導入が容易であると考えられたが,全体の50%の抗原については遺伝子型までは決定できなかった.今後は,全ての遺伝子型をSSP法で判定可能なキットの開発が待たれる.

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© 1994 日本組織適合性学会
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