日本組織適合性学会誌
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1 巻, 1 号
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総説
  • John A. Hansen, Effie Petersdorf, Paul J. Martin, Claudio Anasetti
    1994 年 1 巻 1 号 p. 19-20
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    HLA plays a critical role in marrow allografting impacting significantly on the risk of graft rejection, the incidence and severity of acute graft-versus-host disease (GVHD), the prevalence of chronic GVHD and the probability of finding adequately matched unrelated donors. In Seattle alternate donor transplants are currently considered according to diagnosis, age of the patient and the degree of HLA mismatching.

  • Dominique Charron
    1994 年 1 巻 1 号 p. 21-22
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    In addition to their antigen presenting function HLA molecules have been shown to transduce signals in resting and activated B cells. Two different signalling pathways which lead to opposite effector functions were observed. Both cell activation /differenciation and cell death can be induced through HLA class II. The rôle of HLA class II engagement in normal and auto immune response is discussed.

  • 大野 竜三
    1994 年 1 巻 1 号 p. 23-24
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    近年の化学療法と骨髄移植療法の進歩により、白血病は治療可能な疾患となってきた。骨髄移植療法は現時点での最強の抗白血病療法であるが、graft-versus-host disease(GVHD)のコントロールが最大の課題である一方、GVHDには明らかにgraft-versus-leukemia効果を示している。

    再発した白血病の予後は絶対不良であり、骨髄移植療法が絶対適応となる。慢性骨髄性白血病も骨髄移植が絶対適応と見なされているが、最近、インターフェロンでPh1染色体が消失する症例長期生存率は骨髄移植例より良好であると報告されており、この様な症例での選択が問題になりつつある。

    小児・45歳未満成人急性骨髄性白血病や成人急性リンパ性白血病では、強力な化学療法で治療される患者については、再発までは化学療法を施行し、再発したら骨髄移植を施行するというのがコンセンサスとなりつつある。ただし、化学療法の予後因子不良例では骨髄移植の方がよいと思われる。

  • 谷 憲三郎, 日比野 仁, 中崎 有恒, 林 焯唐, 高橋 圭介, 長山 人三, 高橋 聡, 齋藤 泉, 浅野 茂隆
    1994 年 1 巻 1 号 p. 25-26
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    血液細胞への効率良い遺伝子導入法としては,レトロウイルスベクターならびにアデノウイルスベクターが挙げられる.われわれは先ずレトロウイルスベクターを用い,FACSソーターにて濃縮したマウス骨髄幹細胞への比較的長期的な遺伝子導入を行うことができた.つぎにアデノウイルスベクターを用い,各種白血病細胞やマーモセット骨髄細胞に対して短期的に高い効率での遺伝子導入が可能であることも明らかにした.従ってこれら2つのベクター系を用途に応じて使いわけることで血液疾患への遺伝子治療法開発も可能となると考えられた.さらに,われわれはヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子導入線維芽細胞を用いたサイトカイン補充遺伝子治療法の開発基礎研究も行っており,臨床応用への可能性を検討中である.

  • 小出 幸夫, 龍 慶子, 根津 延和, 吉田 孝人
    1994 年 1 巻 1 号 p. 27-28
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    我々はインターフェロン(IFN)-γによるHLA-DR抗原の発現が転写レベルで制御されており、これには新たな蛋白合成が必要でないことを認めた。そこで、このDR抗原の発現に関与するシグナル伝達機構を研究した。IFN-γはそのレセプターに結合するとこれに会合しているチロシンキナーゼ、恐らくJAK1、2、を活性化し、その後IP3の産生とCキナーゼの活性化を惹起することが判明した。IP3による細胞内Ca2+濃度の上昇とCキナーゼの活性化がIFN-γによるHLA-DR抗原の発現に必須であると考えられる。

  • 田中 啓二
    1994 年 1 巻 1 号 p. 29-30
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    最近、内在性抗原のプロセシング提示機構の解明が進み、この免疫反応システムにおけるプロテアソーム(蛋白質分解酵素複合体)の役割の重要性が明らかになりつつある。ガンマ型インターフェロン(IFN-γ)はMHCにコードされたプロテアソーム遺伝子LMP2とLMP7をUp-Regulationさせると同時にサブユニットXとYをDown-Regulationさせる。この分子構成の変動は抗原ペプチド生成に適応したプロテアソームの機能変化であることが示唆されている。cDNAクローニングの結果、XはLMP7と69%、YはLMP2と61%のホモロジーを有することが判明し、IFN-γは通常のX/Y型プロテアソームからLMP2/7型プロテアソームへの構造変換を誘導して大量に侵入してきた非自己抗原のプロセシングを加速させ、細胞性免疫反応を亢進させると考えられた。これまでIFN-γの主な作用機構は標的遺伝子の転写促進と考えられてたが、抗原のプロセシング反応においてはプロテアソームの機能変換という新しい仕組みで応答することが示唆された。

  • 古山 将康, 木村 俊夫, 大橋 一友, 錦織 直子, 脇本 昭憲, 加藤 宗寛, 筒井 建紀, 佐治 文隆
    1994 年 1 巻 1 号 p. 31-32
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    免疫学的妊娠維持機構において胎盤絨毛に発現する主要組織適合抗原は重要な役割を担っているが,非古典的クラスI抗原であるHLA-G抗原が胎盤絨毛に特異的に発現することが報告された。本研究では異なるHLAクラスI抗原を発現する種々の絨毛癌細胞株をモデルとして,抽出核蛋白とクラスI遺伝子上流域との結合をゲル移動度シフト法を用いて解析した。HLA-Gを発現する細胞株BeWoからの抽出株蛋白中にHLA-G遺伝子の転写開始点から上流120bpから190bpの部位に結合する蛋白をゲル移動度シフト法で確認した。この核蛋白はHLA-A2遺伝子上流域のNFκβの結合のパターンとは異なり,クラシカルなクラスI抗原を発現する他の絨毛癌細胞株には同定できなかったことから,NFκβとは異なる核蛋白であることが示唆された。

原著論文
  • 柏瀬 貢一, 石川 善英, 徳永 勝士, 橋本 正美, 大橋 初弥, 中島 文明, 赤座 達也, 田所 憲治, 十字 猛夫
    1994 年 1 巻 1 号 p. 35-36
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    我々はHLA-A2関連血清の反応パターンの違いによりA2のサブタイプとしてA2S、A2AKおよびA2Kを見出した.A2S、A2AKは、それぞれ第11回国際HLAワークショップに提出されたA2S、A2Leeと血清学的反応性から同一の抗原と考えられたが、A2Kは他のサブタイプとは異なり、新抗原であることが示唆された.一方、A2S+A10の特異性を示す血清が見出された.149および152番のClass I抗原のアミノ酸配列は、A2SとA10関連抗原だけが、それぞれThr、Gluであることから、A2S+A10の特異性を示した血清は、この部位を認識したと推定された.

  • 大田 智, 斉藤 敏, 橋爪 清隆, 山田 英世, 中島 文明
    1994 年 1 巻 1 号 p. 37-38
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    日本人におけるB75の多形性については様々な報告があるにも関わらず未だはっきりとした結論が出ていない。今回B75のパネル及び抗B75血清を使用し血清学的に調べた結果少なくても2つのB75が日本人に存在していることが判明し、それぞれの抗原によりB75-Cw9, B15N-Cw8-DR12の連鎖不平衡のあることが確認された。家族に於いても矛盾なくこれらの抗原は遺伝していた。B15NはB75モノスペシフィック及びB75+B46の様な抗血清との反応が陰性であった。

  • 林 律子, 山崎 雅子, 青山 憲一, 小松 孝良, 鈴木 六郎, 高倉 清
    1994 年 1 巻 1 号 p. 39-40
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    第11回国際組織適合性ワークショップ会議(11th IHWS: 1991, 横浜)に新抗原として提唱し、WHOのNomenclature委員会で、正式にB5103と命名された抗原は、当血液センターにおける通常のHLA血清学的タイピングで見い出した3名のDonorの発見が公認される糸口となった。

  • 中島 文明, 中村 敦子, 岡野 俊夫, 森 智恵子, 横田 敏和
    1994 年 1 巻 1 号 p. 41-42
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    HLA-Cw1抗原のサブタイプを認識すると思われるアロ抗血清を得た.この抗体に反応しないCw1を“Cw1N”と仮に呼ぶこととし,血清学的に解析を試みた.頻度は非常にまれで5/1859(p.f=0.3%)でしかない.また,A24-Cw1N-B46-DR9-DQ3となる特徴あるハプロタイプを有し,family studyにおいても確認された.しかしながら,抗体との反応のみで述べていることであり,これが本当に“Cw1N”と呼んでいる新抗原であるのか,あるいは複雑な抗原構造の結果としてこのような反応を示すものかは現在のところ不明である.少なくとも,このHLA-C領域をcodeしている塩基配列が従来のCw1と同一であるか確認する必要があると考える.

  • 大西 浩史
    1994 年 1 巻 1 号 p. 43-44
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    HLAクラスI抗原を対象としたDNAタイピングのシステムの開発が進んでいる.今回は,PCR-RFLP法をHLAクラスI抗原の解析に応用するにあたり,まずアロ抗原をひとつの単位としてそのサブアリルをタイピングするシステムの開発を,HLA-B44抗原をそのモデルとして検討を行った.日本人由来のB44ポジティブ検体を対象にタイピングを実施した結果,その大部分がB*4403の対立遺伝子であることが明かとなった.

  • 平野 史倫, 田中 廣壽, 牧野 雄一, 三浦 貴徳, 野村 嘉伸, 牧野 勲
    1994 年 1 巻 1 号 p. 45-46
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    原発性胆汁性肝硬変(PBC)治療薬であるウルソデオキコール酸(UDCA)が肝細胞のMHC class I抗原を減少させることが免疫組織学的に示されているが,胆汁酸による肝細胞MHC class I抗原の発現調節機構はいまだ不明である.そこで,今回,(1)UDCA・内因性胆汁酸は肝細胞のMHC class I mRNA,抗原の発現を容量・時間依存性に増加させ,その強さは胆汁酸のhydrophobicityと一致していること,(2)胆汁酸によるMHC class I mRNAの発現はPKC阻害剤により抑制されることを明らかにした.以上より,胆汁酸はMHC class I発現を正に調節し,PBCの病態進展及び治療に関与している可能性を推測させた.また,胆汁酸によるMHC class Iの誘導にPKCを介した細胞内情報伝達系の関与が強く示唆された.

  • 小河原 悟, 道永 功, 内藤 説也, 八木 美輝子, 野田 律也, 平塚 俊樹
    1994 年 1 巻 1 号 p. 47-48
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    1976年から1993年にかけて約7500件のHLA血清学的タイピングを行ない,B, DR抗原について年次毎の抗原ブランクの割合と主要な抗原頻度を第11回国際組織適合ワークショップで示された抗原頻度と比較した.B抗原では1981年まで新抗原のタイピングが可能になり抗原のブランクの割合は減少したが,その後は一定であった.抗原頻度は年次を経て有意にB39が低く,B54が高く,九州地方に特有である可能性が示唆された.DR抗原では1990年まで一定の抗原のブランクの割合であったが,その後減少した.抗原頻度はDR12とDR14が有意に低く,抗血清に問題があると考えられ,今後DNAタイピングの必要性が示された.

  • 秦 美暢, 小林 賢, 阿藤 みや子, 玉井 誠一, 関口 進
    1994 年 1 巻 1 号 p. 49-50
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    PCR-SSOP(regular-dot)によるDNA typingでは1枚のfilterに1種類のprobeしかhybridizeできず,少量の検体に対しても使用するprobeの数だけ反応を繰り返さなければならない.今回我々は,dot blotter上でPCR productsとSSO probesを反応させる方法を考案した.well毎に異なった組み合わせの反応を同時に行えるため,1回の検体処理数や使用するprobesの種類と数が自由にデザインできる.感度も従来のregular dotと同程度であり,特殊な器材を必要としない自由度の高い方法であると思われた.今回,第11回日本組織適合性ワークショップ後に九州大学木村彰方先生より配布されたHLA-A遺伝子のSSOP用のPCR primersとSSO probesを用いて本方法を試みたので報告する.

  • 橋本 光男, 木下 朋子, 兼重 俊彦, 山崎 美保, 市川 靖二, 内田 清久, 福西 孝信
    1994 年 1 巻 1 号 p. 53-54
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    DR-NJ25,DR14特異性は,日本人に特徴的な抗原系の1つであるが,血清学的には判定が困難であり,クラスI抗原との連鎖も明確でない.我々は,1792名の日本人非血縁者の血清学的及び,DNAタイピングを行い221名のDR14,88名のDR-NJ25陽性者を認めた.各抗原の多型性をDNAタイピングで検討すると,DR14は,DRB1*1401,1405,1407の3種類,DR-NJ25については,DRB1*1307,1402,1403,1406,1412の5種類の遺伝子型にスプリットされた.今回の解析で1例しか認められなかったDRB1*1402と1412を除いた6種類のDRB1*14遺伝子型は,DPB1を除く他のクラスIIアリル(DRB3,DQA1,DQB1)と強い連鎖を示し,7種類のクラスIIハプロタイプを形成した.この7種類のDR14ハプロタイプは,全てクラスI抗原とも有意な連鎖がみられ,日本人に特徴的な6種類のHLAハプロタイプを推定することができた.

  • 西垣 文敬, 笹木 剛志, 平野 哲夫, 新藤 純理, 脇坂 明美, 吉木 敬
    1994 年 1 巻 1 号 p. 55-56
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    HLAタイピングは腎移植の際に重要な役割を果たし,特にDR型のマッチングが重要とされているが,血清学的方法とDNAタイピング結果との不一致が指摘されている.そこで,我々は献腎移植希望透析患者106名を対象に,市販DNAタイピングキットを用い,その結果について検討した.106名中,不一致が認められたのは8名(7.5%)であった.原因としてはB細胞分離,良質抗血清獲得の困難性が考えられ,DNAタイピングの必要性が示唆された.また今回我々が使用したSSP法によるキットは簡便で短時間で実施可能なことから,新たにDNAタイピングを導入する施設にとってはその導入が容易であると考えられたが,全体の50%の抗原については遺伝子型までは決定できなかった.今後は,全ての遺伝子型をSSP法で判定可能なキットの開発が待たれる.

  • 前川尻 真司, 川井 信太郎, 徳永 勝士, 宮本 正樹, 赤座 達也, 十字 猛夫, 山根 明男
    1994 年 1 巻 1 号 p. 57-58
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    大量検体のHLAのDNAタイピングをルーチンとして行うことを目的とし,迅速で操作が簡便,コストが安価なPCR-MPH法を前年度の本学会で報告した.しかし,前回報告した12種のプローブの組み合わせによるDRB1遺伝子のgeneric typingでは,DR3,11,12,8がホモなのか,それらとDR6とのヘテロなのかの判定ができない,或いはDRB1*1403をDR8と判定してしまう,等の限界があった.今回,これらの限界を克服するために4種のプローブを追加した.更にsubtypingに関しても検討し,現在報告されている日本人に存在するほとんどのallele typingが可能になった.また,本法でのDQB1遺伝子のgeneric typingについても検討したので報告する.

  • 村山 敦浩, 稲川 明, 中谷 さやか, 辻 敏永, 清水 喜一, 左田 正晴, 辻 隆之
    1994 年 1 巻 1 号 p. 59-60
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    欧米では血清学的タイピングとDNAタイピングによる結果に約25%の不一致があると報告されている.日本においても若干の不一致が認められるという報告がある.今回著者らは当施設での血清学的タイピングとDNAタイピングによる結果の比較をおこなった.血清学的タイピング318例中10例(3.1%)は検査不可能であったが,DNAタイピングはすべて検査可能であった.それぞれの方法による結果に不一致はなかったが,血清学的タイピングでブランクとしたものの中には血清学的タイプは同じであっても異なる遺伝子型を持つものがあった.DNAタイピングが試料の反応性に左右されずに検査できる点,検査試薬が安定に供給できる点などから血清学的タイピングに比べて有用であると思われた.

  • 酒巻 建夫, 前島 基志, 山崎 正明, 苅部 正宏, 柏原 英彦
    1994 年 1 巻 1 号 p. 61-62
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    DNA配列特異的なプライマーの組み合わせを用いてPCRの成否によりタイプを決定する、迅速、簡便なPCR-sequence-specific primers(PCR-SSP)法を検討した。すでにDRB1, B3-5に関して発表しているが、今回、日本人のDQB1遺伝子を対象としてプライマーの設計を行った。これらのプライマーを用いるとPCR-SSOP法と比較して、DQB1*0201, 0301, 0302, 0303, 0401, 0402, 0501, 0502, 05031, 0601, 0602, 0604, 0605の13種類の同定ができることが判明した。この方法は少数の検体を短時間に処理するのに最適な方法であった。今後、PCR-SSP法を臓器移植のドナーのDRB1, DRB3-5, DQB1タイピングに利用すれば、より適合度の高い移植が可能となると思われる。

  • 宮本 正樹, 徳永 勝士, 赤座 達也, 田所 憲治, 十字 猛夫, 川井 信太郎, 前川尻 真司, 山根 明男
    1994 年 1 巻 1 号 p. 63-64
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    抗血清の確保が難しい血清学的なHLAクラスIIタイピングの代わりに,迅速かつ簡便で,多数検体を処理できるDNAタイピング法(PCR-Microtiter plate hybridization(PCR-MPH)法)の開発と検討を行ってきた.12プローブを用いたプレートでは,DR3,11,12,6,8のホモ接合であるか,DR6とのヘテロ接合であるかの区別と,DRB1*1403がDR8と判定される問題点があった.本研究では,4プローブを追加させた16プローブによる改善を行い,さらにルーチン化に向けたタイピング・システムの確立を目指した.改良プレートは,従来の操作性を保持したままで,日本人検体の約99.3%が確定可能となり,PCR-RFLP法やPCR-SSCP法による結果と一致した.自動化に際し,ELISAの機器がそのまま代用可能で,一人で一日に100検体程度の判定が実施できた.

  • 兼重 俊彦, 内田 清久, 木下 朋子, 橋本 光男, 福西 孝信
    1994 年 1 巻 1 号 p. 65-66
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    HLA-DPB1タイピングで既知のアレルと異なるprofileを示した試料JYOの塩基配列解析を行った.塩基配列決定にはPCR産物をプラスミドベクターにクローニングする方法(;常法)と併せ,reverse dot blot法のpositive spotより鋳型を調整し直接塩基配列決定を行う方法を用いた.これらの塩基配列解析によりJYOのDPB1アレルはDPB1*0202と,DPB1*0402のcodon 36がGCG(Ala)に置換した新たなアレル(DPB1*JYO=5101)のヘテロ接合体であることが分かった.今回我々が開発した,reverse dot blot法を利用した直接塩基配列決定法は,クローニングステップを必要とせずにヘテロ接合体アレルからも,信頼性の高いデータが短時間の内に得られることから有用である.

  • 桑田 昇治, 柳沢 雅美, 柴田 洋一, 徳永 勝士, 田所 憲治, 十字 猛夫
    1994 年 1 巻 1 号 p. 67-68
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    TAP分子は,遺伝子座がHLAクラスII領域に存在し,多型を呈することが報告され,抗原ペプチドの粗面小胞体への能動的輸送を行なう.TAP1遺伝子2ケ所,TAP2遺伝子4ケ所の多型が報告されている.我々は,PCR-RFLP法にてTAP遺伝子多型を解析し,制限酵素認識塩基配列の存在しない領域については,mismatch-PCR-RFLP法にて解析した.白人では稀なTAP1D対立遺伝子が23%存在し,TAP2対立遺伝子も新たに2種類の存在が明らかとなった.TAP遺伝子の型判定にはPCR-RFLP法による解析法が簡便で確実であると考えられる.Mismatch-PCR-RFLP法は,制限酵素認識塩基配列のない場合でも解析が可能であり,他の遺伝子多型の解析にも応用可能な方法である.

  • 田中 秀則, 徳永 勝士, 贄田 美江, 内川 千枝子, 伊藤 圭一, 平川 和也, 赤座 達也, 高橋 孝喜, 田所 憲治, 十字 猛夫
    1994 年 1 巻 1 号 p. 71-72
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    ブリヤット族のHLA,BF及びC4アロタイピング結果から,BFおよびC4の遺伝子頻度,3座位間(BF-C4A-C4B)の補体ハプロタイプ,5座位(HLA-B,BF,C4A,C4B,HLA-DR)のMHCハプロタイプ頻度を算出し,その分布の特徴について検討を行った.MHCハプロタイプの解析では,欧州の民族と関連性が推定されるタイプ(B13-BFS-C4A3-C4B1-DR7,B44-BFF-C4A3-C4B1-DR7,B50-BFS07-C4A2-C4B1+12-DR7),東北アジアの民族との関連性が推定されるタイプ(B58-BFF-C4AQ0-C4B1-DR13,B37-BFF-C4A3-C4B1-DR10)等が認められた.

  • 前島 基志, 苅部 正宏, 山崎 正明, 酒巻 建夫, 柏原 英彦
    1994 年 1 巻 1 号 p. 73-74
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    登録患者血清中のPRA検査には,T細胞を用いてclass I(T warm)抗体の検出を行っているが,class II(B warm)抗体の検出は,多量の新鮮なB細胞の入手が困難なため,現在当施設では行っていない.今回我々は,日本人由来のLCLを使用して,登録患者血清中のclass I,II抗体の有無を検討した.未吸収登録患者血清とLCLの反応では,T細胞より陽性率が高く,吸収後の反応では末梢B細胞と同程度の陽性率と強い相関を示したことから,LCLはclass I抗体に加えclass II抗体の検出にも使用できると考えられた.LCL細胞は計画的に調整できるので,PRAを継続的に調べる上で末梢B細胞に代えることができると思われる.

  • 丸屋 悦子, 佐治 博夫
    1994 年 1 巻 1 号 p. 75-76
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    非血縁間骨髄移植のHLA適合検査はPCR-DNAタイピングによるアリル型マッチングにより精度の高い適合性が得られる.この方法による検査過誤の防止と最終確認のためレシピエントとドナー候補者のMHC領域のDNAをPCRで増幅し,直接マッチングさせるDNAクロスマッチ法としてLIS-DCP(Low lonic Strength-DNA Conformation Polymorphism)法を開発した.LIS-DCPはDNAの融解特性を利用しDNA溶液のイオン強度を下げ,94°C加熱変性後55°Cでアニールすることによりmismatch hybdizationによるHDF(Hetero Duplex Formation)と熱変性によるSSCP(Single Strand Conformation Polymorphism)の両方を形成しかつ持続させ同時に検出できる.クロスマッチ一致例はすべてアリル型適合例であり,不一致例ではアリル型のミスタイピングが検出された.検査所要日数も2日と迅速かつ簡便で安価なクロスマッチ法である.

  • 李 丹, 佐田 正晴, 辻 隆之, 高原 史郎, 奥山 明彦, 堀江 重郎, 村山 敦浩
    1994 年 1 巻 1 号 p. 77-78
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    成人型嚢胞腎(以下PCK)家系を対象とし,DRB1 alleleおよび白人PCKの責任遺伝子と考えられているPKD-1遺伝子の解析を行い,疾患感受性遺伝子についての検索を行った.家系内haplotypeの解析において,PCK患者の90%にDRB1*0803,1302,1401,1501いずれかのhaplotypeが認められ,更にその40%は両方のhaplotypeを有していた.PDK-1遺伝子は,日本人PCK患者でも連鎖が認められたが,連鎖率は白人PCKと比較し低率だった.日本人PCKではPKD-1遺伝子よりDRB1遺伝子との連鎖が濃厚で,特定のDRB1 alleleが腎機能の良否を左右する可能性も示唆された.

  • 安波 礼子, 立花 日軍夫, 吉原 博子
    1994 年 1 巻 1 号 p. 79-80
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    サルコイドーシスは原因不明の疾患であるが,HLA-DRw52関連抗原がサルコイドーシス患者に多く見られ,HLA遺伝子が疾患感受性遺伝子の1つと推定されうる.今回サルコイドーシス患者のDRB1-DNAタイピングを行い,疾患に関連するHLA抗原の分子レベルでの特定を試みた.正常コントロールに比して患者群では,DRB1-1201と0803が有意に上昇しており,DRB3ではなくDRB1遺伝子産物の方に関連抗原があると思われた.

  • 能勢 義介, 荒木 延夫, 稲葉 洋行, 浜中 泰光, 阪田 宣彦, 鍋谷 登, 一色 玄, 成瀬 妙子, 猪子 英俊
    1994 年 1 巻 1 号 p. 81-82
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    MLC反応により検出されるHLA-D抗原はHLA-DNA解析によるDRB1遺伝子と最も高い相関を示すことから,主要なMLC抗原はDR抗原であると考えられている1)2).そこで今回,DR抗原が同一でDRB1遺伝子が異なる細胞間のMLC反応を詳細に検討した.反応細胞をDw15(DRB1*0405,0410)と,刺激細胞をDR4関連D抗原としたMLC反応は,Dw15が75% DNV値23.2,Dw14(DRB1*0404,0408)が62.6,Dw4(DRB1*0401)が68.6,Dw13(DRB1*0403,0407)が82.0,Dw10(DRB1*0402,0414)が91.4を示し,DR4関連D抗原のDRB1遺伝子第2エクソンの37~74番目が異なるアミノ酸数が多い程,高いMLC反応を示す傾向を示した.

  • 小出 幸夫, 内嶋 雅人, 吉田 篤司, 吉田 孝人
    1994 年 1 巻 1 号 p. 83-84
    発行日: 1994年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    T細胞レセプターを介した各種サイトカインmRNAの発現には、カルシュニュリン/Cキナーゼ系とこれとは別個のシグナルの少なくとも二種の伝達系が存在することが示唆された。後者のシグナルはSEBによるアナジーの影響を受けず、アナジー耐性サイトカイン群のmRNA発現に関与すると考えられる。

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