2006 年 12 巻 3 号 p. 203-214
2005年は私達の研究室(Laboratory of Genomic Diversity)にとって記念すべき年であった. ひとつには, オブライエン博士らにより, チーターの皮膚移植実験を用いたこの種におけるMHC多様性の欠如がサイエンス誌に発表されて20周年にあたることによる(1). さらに, 私達のグループにより, 家ネコ科のMHCシークエンスがほぼ完了し, 9月21日にはAgencourt/Broad Institute/NHGRIにより, ネコの全ゲノムショットガンシークエンス(2倍ゲノムサイズ)が完了した. これらによりMHC領域の比較が可能になった. もうひとつ特筆すべきは, イヌのゲノムシークエンス(7.5倍ゲノムサイズ)が完了して一年, その成果がネーチャー12月号に発表された事が挙げられよう(2). 私達はブロード研究所からイヌMHC全シークエンスを得, その解析とネコMHCとの構造比較を行った. 今回, この雑誌の場を借りてこれらの成果を比較発表させて頂く.