2006 年 12 巻 3 号 p. 183-201
日本骨髄バンク登録ドナー(以下ドナーとする)として登録された人々のHLA型から, HLA-A, -B, -DRの3座位のHLA抗原の遺伝子頻度およびHLA-A, -B, -DRの3座のHLA抗原のハプロタイプ頻度の算出を行い, さらにドナーが登録した骨髄データセンターの都道府県をそのドナーの出身地と仮定して, HLAハプロタイプの都道府県別頻度の計算を行った. ドナー全体のハプロタイプ頻度と韓国, 台湾, 中国, 中国東北部のハプロタイプ頻度との比較も行った. 11th International Histcompatibility Workshop(以下11th IHWとする)の日本のHLA遺伝子頻度結果は, 全検体数が少なかったために検出できなかった日本人には比較的稀であるとされてきたHLA型が, 今回のドナー全体での調査では, いくつか検出された. これは大きな集団を解析することによって初めて可能になった貴重なデータである. 都道府県別ハプロタイプ頻度を較べてみると, ハプロタイプの分布に多少の差異があることが示された. 東北アジアの近隣の国々(韓国, 台湾, 中国, 中国東北部)との比較では, 日本は韓国と多くのHLA抗原ハプロタイプを共有している事が示され, 人類学的に近い関係にあることが推測された.