2006 年 13 巻 2 号 p. 131-137
HLA抗原は対立遺伝子型そのものであり, 他の血液型のように一つ一つのアロ特異性に名称が規定されていない. HLA抗原分子上にも当然いくつかのエピトープが存在するが, HLA抗体特異性の表現は, 反応する抗原名を列挙する方法で行われる. 抗原名の表記はHLA発展の過程で, スプリット抗原として入れ子状態となり, 解釈を困難にしている. アロ血清中には複数のエピトープに対する抗体が混在し, 一方, 異なる抗原間では共通エピトープが存在することから, HLA抗体の解析は必然的に難解となる. 本稿では, 従来の血清学的解析手法から近年の高感度試薬に対応可能な解析法に至るまで解説する.