日本組織適合性学会誌
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総説
第3回 非血縁者間造血幹細胞移植におけるHLA適合性
森島 泰雄
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2008 年 14 巻 3 号 p. 367-376

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抄録

非血縁者間造血幹細胞移植ではHLA適合と言っても, HLA遺伝子型などが異なっている場合が多い. このHLAの違いが移植免疫反応にどのように影響しているかを解析することにより, HLAの適合度の良いドナーの選択が可能になり, 移植成績が向上する. ここでは, 日本骨髄バンクにおける非血縁者間骨髄移植症例の解析を中心に, 最近の成果につき概説する. HLA座の違いに加えて, 不適合HLA型の違いやHLAエピトープの急性GVHDへの効果が明らかになり, HLA解析は新たな段階に入っている. 1.はじめに 同種造血細胞移植は, 造血器腫瘍やその他の血液疾患・免疫不全症の治癒を期待できる治療法として確立されてきた. 特に造血器腫瘍においてはドナー由来の免疫担当細胞によるGVL(graft versus leukemia)効果が, その治癒をもたらすのに重要であると考えられている. 同種移植には拒絶やGVHD(graft versus host disease)などによる非再発死亡などのリスクが伴うが, HLAが一致したドナーから移植をすることで, それらのリスクが減少する1).

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© 2008 日本組織適合性学会
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