日本組織適合性学会誌
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総説
第4回 GVHD制御と移植免疫寛容誘導の展望
豊嶋 崇徳
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2008 年 15 巻 1 号 p. 9-26

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抄録

同種造血幹細胞移植後では, 免疫系がドナー由来で置換されるにもかかわらず, 移植後に免疫抑制を中止できる症例がまれではなく, このような例では免疫寛容が成立していると考えられる. 寛容が成立しない症例では慢性GVHDが発症する. この慢性GVHDは, 急性GVHDによる中枢性・末梢性寛容機構の破綻に関連して発症するのではないかと考えられるようになってきた. すなわち, 移植免疫寛容は, ドナー由来の免疫系がレシピエントの体内で再構築される過程で, 中枢性・末梢性寛容機構が正常に再構築することで達成されるものと考えられる. 「I. 造血幹細胞移植の歴史」 1. 造血幹細胞移植の黎明期 1950年代に, 致死量の放射線照射を受けたマウスが骨髄細胞の投与により救命されることが発見され, さっそく1957年には白血病患者に対し最初の骨髄移植が実施された. 翌年, ユーゴスラビアで原子炉事故が発生し, その被爆者に対し骨髄移植が実施された.

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