日本組織適合性学会誌
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総説
第4回 献腎移植の現場でのHLA検査とクロスマッチ
杉谷 篤北田 秀久岡部 安博土井 篤錦 建宏西岡 泰信劉 勇田中 雅夫
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2008 年 15 巻 1 号 p. 27-38

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抄録

本邦で献腎移植を希望する患者は, 初回3万円, 毎年更新時5千円をネットワークに納入して, 平均14年間の待機期間の後に, ようやく献腎移植が受けられる状況である. その選定と優先順位は厳格に規定されており, ドナー血液とのクロスマッチテストが陰性でなければ最終的に受けることはできない. 待機患者のHLAタイピングも現在は血清学的方法が用いられているが, 精度の向上と選定時のマッチ数判定に今後はDNAタイピングによる4桁アリルの採用が望まれる. クロスマッチテストの判定も現行は血清学的方法で行われているが, より敏感なFlowcyteの普及ともにFlow-PRA, Flowcytometric crossmatch陽性率も上昇している. 移植後の抗体生成による慢性拒絶に対する方策も必要である. より良い移植成績を残すためにも, 移植医と組織適合性検査を担うスタッフが相互の現状, 問題点を真摯に理解, 相互協力しようとする努力が欠かせない.

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© 2008 日本組織適合性学会
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