日本組織適合性学会誌
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原著論文
日本人に血清学的に見いだされた新しいHLA-B27サブタイプ
長谷川 隆菅原 裕司盛山 芳恵南斎 博英小川 篤子俵 国芳徳永 勝士十字 猛夫近藤 正太郎
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キーワード: B27, B27KH, B^* 2707, B40, SSOP
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1996 年 2 巻 3 号 p. 109-114

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抄録

我々は日本人献血者のHLAクラスIのタイピングを行うなかで, B27モノスペシフィクな抗血清と反応し, さらにB40グループおよびBw6抗血清の一部にも反応する抗原を見いだした. この抗原を献血者のイニシャルよりB27KHと仮に名づけた. このパネルを1994年度中央血液センター管内HLAワークショップに提出したところ, 他のB27抗原とは血清学的に明らかに違う反応パターンであることが確認された. また, ワークショップに提出されていたB27抗原のなかの2パネル(外国人献血者)がB27KH抗原と同様の反応パターンを示していた. PCR-SSOP法によるDNAタイピングの結果, B27KH抗原と同様の反応をした外国人献血者のアリルはB^* 2707であったが, B27KH抗原はSSOPの反応パターンより, B^* 2707とは異なる新しいB27アリルであることが示唆された. HLA-B27抗原には現在までにB^* 2701〜B^* 2709のアリルが報告されている(1). 過去においてはそのサブタイプは血清学, CTLクローン, 一次元電気泳動などにより検討され, 報告されてきた(2〜6). しかし, 日本人の場合, その遺伝子頻度は0.4%とされ(7), タイピングする機会の少ない抗原でありサブタイプの検討はほとんどなされていない. 我々は日本人献血者のHLAの中に, B27モノスペシフィクな抗血清に反応するが, 通常経験しているB27抗原とは血清学的に異なる反応態度を示す抗原を見いだし, 仮にB27KHと名づけた. 1994年度中央血液センター管内HLAワークショップ(94CHW)にこのパネル細胞を提出し, 多数の抗血清とB27KH抗原の反応パターンを解析し, 提出された他のB27パネル細胞の反応性との比較を行った. また, B27アリルのDNAタイピングの結果および抗血清との反応性からB27KH抗原の構造について考察を行った.

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© 1996 日本組織適合性学会
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