2023 年 30 巻 2 号 p. 64-71
近年の組織適合性検査の進歩は,臓器移植の成績向上に寄与していると言えるだろう。HLAタイピング技術の進歩により,対立遺伝子(アレル)のほぼ完全な決定やHLA抗原のアミノ酸配列に基づく3次元構造のイメージ化が可能となった。さらに,HLA抗体検査はLuminexを用いた蛍光ビーズ法が主流となり,HLAアレルに対する特異性の検出が実現された。これらの進歩により,エピトープ解析という手法が生まれた。従来,臓器移植のリスク評価ではHLAアレルミスマッチが使用されていたが,エピトープ解析を用いることでより詳細な評価が可能になったとの研究結果が国内外で多く報告されている。しかし,臨床現場ではまだエピトープ解析が日常的に行われていない状況がある。その理由として,エピトープに関する知識の不足,解析手法の複雑さ,手法の統一性の欠如などが挙げられる。ただし,解析手法について基礎知識を持っていることは,抗体検査結果の解釈に迷った場合に助けとなる可能性があると考えられる。本稿では,エピトープ解析の日常的な導入を促す内容となっている。そのため,専門的な内容は基礎的知識のみの解説に留め,症例解説を中心に概説する。