日本組織適合性学会誌
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30 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
2023年度認定 HLA 検査技術者講習会テキスト
  • 成瀬 妙子
    2023 年 30 巻 2 号 p. 57-63
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/08
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  • 坂本 慎太郎
    2023 年 30 巻 2 号 p. 64-71
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/08
    ジャーナル フリー

    近年の組織適合性検査の進歩は,臓器移植の成績向上に寄与していると言えるだろう。HLAタイピング技術の進歩により,対立遺伝子(アレル)のほぼ完全な決定やHLA抗原のアミノ酸配列に基づく3次元構造のイメージ化が可能となった。さらに,HLA抗体検査はLuminexを用いた蛍光ビーズ法が主流となり,HLAアレルに対する特異性の検出が実現された。これらの進歩により,エピトープ解析という手法が生まれた。従来,臓器移植のリスク評価ではHLAアレルミスマッチが使用されていたが,エピトープ解析を用いることでより詳細な評価が可能になったとの研究結果が国内外で多く報告されている。しかし,臨床現場ではまだエピトープ解析が日常的に行われていない状況がある。その理由として,エピトープに関する知識の不足,解析手法の複雑さ,手法の統一性の欠如などが挙げられる。ただし,解析手法について基礎知識を持っていることは,抗体検査結果の解釈に迷った場合に助けとなる可能性があると考えられる。本稿では,エピトープ解析の日常的な導入を促す内容となっている。そのため,専門的な内容は基礎的知識のみの解説に留め,症例解説を中心に概説する。

  • 布田 伸一
    2023 年 30 巻 2 号 p. 72-77
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/08
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    「倫理」とは何か,それは善悪や正邪の規準となるもので,言い換えれば,「道徳」,「人としての道」となるかも知れない。生きていく上で身体に自然に染み込んだものであり,当たり前すぎて記述も少ない。ここで,「法律」は社会の秩序を維持するために社会による強制力を伴うのに対し,「倫理」は個人に属する内面的な意志として規制する。要するに,社会のルールをすべて法律で定めることは不可能のため,これだけは是非とも守らなければならない「最低限度の規範」が,法律として定められる。

    医の倫理は,西洋では古代ギリシアのヒポクラテス学派の考えが踏襲され,東洋では伝統的に「医は仁術」とされ,長い間,医療者と医療を受ける人びととの間に信頼関係を築いてきたと思われるが,今一度,再認識が必要な時かも知れない。

    20世紀半ば以降の急速な自然科学の進歩の陰には,ニュールンベルグ裁判で明らかにされた第二次世界大戦中のナチスによる非人道的行為があり,1964年に医学研究における被験者の人権擁護を目的とした『ヘルシンキ宣言』が採択され,国民の医療を受ける権利が主張され,インフォームド・コンセントが不可欠という,医の倫理としての重要性が各国で承認された。そして,体外受精に始まる生殖補助医療技術,出生前検査と着床前検査は生命倫理の議論をもたらし,臓器提供者と臓器不全状態のレシピエント間で成り立つ臓器移植,最近のエンド・オブ・ライフケア,緩和医療では,自ずと高い倫理観を個人に求め,その倫理性を多職種が各々持つことで理想的なチーム医療が成り立つと認識されるようになってきた。そして,1999年のブタペスト世界科学会議の「科学と科学知識の使用に関する世界宣言」にて,社会における科学と社会のための科学に対して,すべての科学者は,社会における科学と社会のための科学に対して,高度な倫理的基準を自らに課すべきであり,科学者の社会的責任は,高い水準の科学的誠実さと研究の品質管理を維持し,知識を共有し,社会との意思の疎通を図り,若い世代を教育することと提言された。2022年4月に日本医師会から出された「医の倫理要綱」でも,医療とは,医学の実践であるが,純粋な医学のみならず常に社会性が求められている。この「社会性」は,紀元前から今日まで変わらず医療の根底にあるものであり,移植医療においても,その実践が即ち,「倫理的行動」に繋がることと思われる。

報告
  • 高山 智美, 金本 人美, 黒田 ゆかり, 木村 彰方
    2023 年 30 巻 2 号 p. 78-91
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/08
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    日本組織適合性学会初心者教育部会用語分科会では,初心者講習会の開催と並行して2019年よりHLA用語集(入門編)の作成を行っている。HLA用語集(入門編)は,HLAと関わることになった初心者が,実務を行う際に疑問に思うであろう用語(略称を含む)とその解説をまとめたものであるが,初心者講習会を開催していく中で要望があがったことを受けて作成するところとなった。日常業務等において知らない専門用語に戸惑ったときや,改めて用語の意味を確認したいときに,まず手にとってもらうことを目指して,HLAの基礎的なところから分子生物学,関連する検査技術といった様々な分野の用語をABC順,あいうえお順に掲載している。これまで初心者講習会の開催に合わせて年1回更新しており,用語の数は2019年の初版では24語であったところ,最新版(2023年)では78語を掲載するに至った。以下に最新版(Ver.1.4)を示す。なお,説明中に下線が引かれた用語は,この用語集に収録されているため,参照していただきたい。

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