日本組織適合性学会誌
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総説
抗原提示補助シグナル分子の遺伝的バリアントに起因する自己免疫疾患の発症機序
人見 祐基
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2024 年 31 巻 1 号 p. 20-28

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抄録

自己免疫疾患は、自己抗原に対する免疫応答を回避するトレランス(免疫寛容)の破綻を原因とし、その発症には遺伝要因と環境要因の総合的な寄与が想定されている。これまでに、ゲノムワイド関連解析(GWAS)などの網羅的なゲノム解析手法が実施され、多数の疾患感受性遺伝子領域が同定されてきた。この中で、ヒト白血球抗原(HLA)からT細胞抗原受容体(TCR)への抗原提示において重要な役割を担う補助シグナル分子をコードする遺伝子の多くは、複数の自己免疫疾患に共通する疾患感受性遺伝子領域である。in silico解析やゲノム編集技術のCRISPR/Cas9を活用したpost-GWAS解析を駆使することによって、CD80ICOSLGCD40CD58CD28CTLA4PDCD1が特定の遺伝的バリアントに起因して自己免疫疾患の病態へ関与することが明らかとなった。

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© 2024 日本組織適合性学会
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