日本組織適合性学会誌
Online ISSN : 2187-4239
Print ISSN : 2186-9995
ISSN-L : 2186-9995
原著論文
HLA1−ハプロタイプ適合間腎移植におけるDRB1とMLR
安尾 美年子小林 博人伊藤 文夫田辺 一成東間 紘太田 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 4 巻 1 号 p. 1-5

詳細
抄録

HLA1−ハプロタイプ適合家族間の生体腎移植において, 異なるDRB1タイプの1ミスマッチの中から適合性の良いドナーを選択するため, DRB1タイプとMLRとの関係を比較検討した. その結果DRおよびDRB1タイプの違いにより, いずれも同様にMLRに差が認められた. DR1, DR2についてはとくに反応が強く, DR8, DR9は明らかに弱い反応を示した. また急性拒絶反応の発生率も同様の傾向であったがDR4のサブタイプミスマッチについてはMLRが弱い組み合わせでも拒絶反応が認められた. 生体腎移植のドナーの多くはHLA1−ハプロタイプ適合の血縁家族の中から選択される. そのため拒絶反応に強く関わると考えられているDR抗原タイプは1ミスマッチとなり, ドナー候補者が複数で異なるミスマッチDRタイプを持つときには適合性検査としての選択の基準が必要となる. そのためわれわれはクラスn抗原のなかでもDRタイプの影響が最も強いと考えられているMLR(リンパ球混合培養反応)を用いて, 刺激細胞側のDRB1タイプの違いによる免疫反応の強さを比較検討し, 急性拒絶反応との関連について調べたので報告する.

著者関連情報
© 1997 日本組織適合性学会
次の記事
feedback
Top