1997 年 4 巻 2 号 p. 74-79
等電点電気泳動法を用いてHLA-B抗原を解析するため, HLA-B抗原に特異性の高いアミノ酸配列DRETQIsKTNTQTYRE(aa61-76)に関してMultiple Antignic Peptide(MAP)を調製, 免疫することにより, “抗HLA-Bα1 MAP血清”を調製し, 種々のHLA-A抗原, -B抗原との反応性について等電点電気泳動-イムノブロット(IEF-IB)法にて検討した. その結果, 抗HLA−Bα1MAP血清は, HLA-B抗原については, 免疫原と同一のアミノ酸配列を有するHLA-B13, -B44, -B48, -B52, -B60, -B61, -B62抗原に対し特異的に強く反応したが, 1〜6個のアミノ酸配列が異なるHLA-B7, -B8, -B14, -B18, -B27, -B35, -B46, -B51, -B53, -B54, -B55, -B70, -B75抗原にはほとんど反応しなかった. また, HLA-A抗原(8〜9個のアミノ酸配列が異なる)に関してはHLA-A2, -A24には弱く反応するものの, 他のHLA-A抗原にはほとんど反応性を示さなかった. 従って, HLA-B抗原に特異的なアミノ酸配列のMAPを合成, 免疫することにより, IEF-IB法においてHLA-A抗原にはほとんど反応することなく, 免疫原と同一のアミノ酸配列を有するHLA-B抗原のみと強く反応する抗血清を調製することができた. 今後, 本血清はHLA-B抗原の生化学的解析に有用になると思われる.