日本未病システム学会雑誌
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熟成ニンニク抽出液配合生薬主薬製剤の薬理作用 (2)
―女性更年期障害モデルを用いた評価―
水野 郁子安田 佳代牛島 光保許 栄海
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2005 年 11 巻 1 号 p. 117-121

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抄録

女性の更年期障害は, 卵巣機能の変化に伴う多種多様の症候群であり, 症状改善のために様々な薬剤が用いられる。今回われわれは, 熟成ニンニク抽出液 (AGE; aged garlic extract) に, 中高年から老年期の疾患の予防, 滋養強壮に有用とされる生薬のニンジン, ゴオウ, ロクジョウ, トシシおよびイカリソウを配合した製剤 (LEOPINROYAL; LER) の女性更年期障害改善作用について, 動物モデルを用いて検討した。
マウスの両側卵巣を外科的に摘除し, 2週間後に強制水泳試験における不動遊泳 (抑うつ状態の指標と考えられている行動) 時間を測定した。LERは, 手術の翌日から試験日までの問, 1日5mL/kgが投与された。両側卵巣摘出マウスは偽手術群と比較し, 強制水泳試験における不動遊泳時間の延長が観察され, 抑うつ状態を示した。一方LERは, 卵巣摘出による不動遊泳時間の延長を短縮し, 抗うつ様作用を示した。なお, 卵巣摘出により子宮重量は低下したが, マウスの自発運動量には変化がなかった。LERは卵巣摘出マウスの低下した子宮重量に変化を与えず, 自発運動量にも影響を与えなかったことから, 直接的なエストロゲン様作用や興奮作用はないと考えられた。
さらに, 卵巣摘出マウスの免疫機能について検討した。卵巣摘出から2, 3, 4週間後に脾臓を摘出し, ConA刺激による脾臓細胞からのcytokine (IFN-γ) 産生量を測定した。その結果, 卵巣摘出マウスでは脾臓細胞からのIFN-γ産生量が有意に低下することを明らかにした。これに対しLERは, この卵巣摘出によりもたらされたIFN-r産生量の低下を有意に防御した。
LERは, 卵巣摘出によりもたらされるうつ症状, および免疫機能の障害を改善する能力を示し, 卵巣機能の低下により引き起こされる神経系一内分泌系一免疫系ネットワークの乱れを正常化し, 女性更年期障害を改善する有望なagentであることが示唆された。

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