2016 年 32 巻 2 号 p. 133-146
Pseudomonas 属の主要5 菌種に共通に保存されている121 個のhousekeeping proteins より,高い配列多型をもつ8 種類の蛋白配列を選択した.これらの配列を結合した配列(C8HKP)を用い,既報の4MLSA(16S rRNA, gyrB, rpoB, rpoD) を用いた系統解析法と比較した.両者の配列置換率を比較した結果,相関係数はR2=0.897 と高い相関を認め,C8HKP は約 2 倍の解像度を持つことが明らかとなった.加えて,系統樹を比較した結果,各菌種の系統位置は両者で概ね一致していた.このことから,C8HKP による系統解析はPseudomonas 属の系統分類に有用であることが示唆された. さらに, Pseudomonas putida group に同定された多剤耐性株を含む臨床分離株33 株のドラフトゲノム配列を決定し,C8HKP による系統解析を行ったところ,P. putida およびPseudomonas monteilii の基準株とは独立したクラスターが複数認められ,多剤耐性株はこのクラスターの一つに集中して認められた.