日本微生物資源学会誌
Online ISSN : 2759-2006
Print ISSN : 1342-4041
原著論文
Pseudomonas putida group の多剤耐性臨床分離株は,高度可変的な8個のhousekeeping遺伝子配列の連結を用いた系統解析を行うと,P. putidaおよびPseudomonas monteiliiの基準株とは独立したクラスターを形成する
玉井 清子波多 宏幸土金 恵子黄地 祥子細山 哲阪本 康司山副 敦司藤田 信之江崎 孝行
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2016 年 32 巻 2 号 p. 133-146

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抄録

Pseudomonas 属の主要5 菌種に共通に保存されている121 個のhousekeeping proteins より,高い配列多型をもつ8 種類の蛋白配列を選択した.これらの配列を結合した配列(C8HKP)を用い,既報の4MLSA(16S rRNA, gyrB, rpoB, rpoD) を用いた系統解析法と比較した.両者の配列置換率を比較した結果,相関係数はR2=0.897 と高い相関を認め,C8HKP は約 2 倍の解像度を持つことが明らかとなった.加えて,系統樹を比較した結果,各菌種の系統位置は両者で概ね一致していた.このことから,C8HKP による系統解析はPseudomonas 属の系統分類に有用であることが示唆された. さらに, Pseudomonas putida group に同定された多剤耐性株を含む臨床分離株33 株のドラフトゲノム配列を決定し,C8HKP による系統解析を行ったところ,P. putida およびPseudomonas monteilii の基準株とは独立したクラスターが複数認められ,多剤耐性株はこのクラスターの一つに集中して認められた.

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© 2016 日本微生物資源学会
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