日本微生物資源学会誌
Online ISSN : 2759-2006
Print ISSN : 1342-4041
原著論文
ダイズ祖先種ツルマメの病変部より分離・検出された菌類
佐藤 豊三加賀 秋人古屋 成人土屋 健一大貫 正俊
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 33 巻 1 号 p. 9-18

詳細
抄録

国内で記録のあるダイズ祖先種のツルマメの病原菌5種は,すべてダイズの病原菌と共通種である.本研究では全国的なツルマメの寄生菌類相を把握し,ダイズの病原菌との共通種を調べるため,2014年,各地のツルマメの病変部から菌類の検出と分離・同定を試みた.その結果,50種を同定し,そのうち42種はツルマメが新たな宿主であることを明らかにした.また,24種は国内外で知られているダイズの病原菌や着生菌の共通種であった.さらに,そのうちCercospora kikuchii, Cer. sojina, Colletotrichum destructivum, Corynespora cassiicola, Epicoccum nigrum, Gibberella avenacea, Fusarium sp.(the F. oxysporum species complex), OidiumPseudoidium)sp., Peronospora manshurica, Phakopsora pachyrhizi, Phytophthora cryptogea, Phy. sojae, Septoria glycines, Thanatephorus cucumeris(AG-1 1A)の14 種は国内で報告されている共通種であり,それ以外の共通種は Alternaria alternata, Botrytis cinerea, Curvularia intermedia, Cur. lunata, Fusarium fujikuroi, Fusarium sp. (the F. graminearum species complex), Gibberella acuminata, G. intricans, Paramyrothecium roridum, Pseudopithomyces chartarum の10 種であった.複数の県で得られたCol. destructivum(炭疽病菌),Per. manshurica(べと病菌),Pha. pachyrhizi(さび病菌)だけでなく,単一の県でのみ採集された Cor. cassiicola(褐色輪紋病菌),Phy. sojae (茎疫病菌),S. glycines(褐紋病菌),T. cucumeris(葉腐病菌)等はダイズの重要病原菌であり,ツルマメが感染源となり被害を及ぼしうるため,注意を要する.以上より,ツルマメは多くのダイズ病原菌類の温床になる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2017 日本微生物資源学会
前の記事 次の記事
feedback
Top