2019 年 35 巻 1 号 p. 3-11
ヤムイモ(Dioscorea spp.)は熱帯地域などでは重要な作物である.近年,ヤムイモの生長には内生する窒素固定細菌が寄与している可能性が指摘され始めている.しかしヤムイモには多様な系統が存在するため,本研究ではダイジョ(Dioscorea alata L.)の16系統とトゲイモ(Dioscorea esculenta L.)の3系統,併せて2種19系統のヤムイモを窒素施用と無施肥の条件で160日栽培し,茎,根,葉の部位に内生する窒素固定細菌の分離と16S rRNA 遺伝子配列に基づく同定を行った.その結果,全部位から窒素固定細菌が併せて41株が分離された.分離株は Bacillus 属,Bradyrhizobium 属,Devosia 属,Ensifer 属,Mycobacterium 属,Neorhizobium 属,Paenibacillus 属,Pseudoxanthomonas 属,Rhizobium 属,Xanthomonas 属など18属と同定された.分離株の窒素固定能はアセチレン還元活性で評価し,トゲイモからの分離株は4.1から57.4nmol C2H4 tube/day/24h,ダイジョからの分離株は4.1から164nmol C2H4 tube/day/24 h であり,試験した株はすべて固定能を有していた.そして,部位や系統の違い,施肥の有無による内生窒素固定細菌種が異なり,ヤムイモに内生する窒素固定細菌は多様であることが明らかとなった.