日本微生物資源学会誌
Online ISSN : 2759-2006
Print ISSN : 1342-4041
パーライト法による超低温槽と液体窒素気相での保管による担子菌株の長期凍結保存
佐藤 真則稲葉 重樹岡崎 規理子中桐 昭
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2021 年 37 巻 1 号 p. 13-20

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抄録

Homolka のパーライト法による超低温槽での担子菌培養株105株の長期凍結保存性の評価を行った.復元した105株のうち86株は5年間の凍結保存後も良好な生残性を示し,一方19株について不良な生残性であった.次に生残性が不良か不安定な25菌株を選抜し,保管温度の違いが生残性に与える影響を調べたところ,液体窒素気相(-170℃)で凍結保存した25株のうち7株において,超低温槽(-80℃)で凍結保存した場合よりも明らかに良好な生残性を示した.さらに,これら25株のうちで復元後のコロニー直径の大きさの比較が可能な16株においてコロニー直径の統計学的比較を行ったところ,7株について液体窒素気相保存したもののコロニー直径が-80℃ で凍結保存した場合よりも有意に大きかった.これらの結果から,Homolka のパーライト法を用いた超低温槽での凍結保存法は幅広い種類の菌根性担子菌培養株の長期凍結保存に有効であることを示すとともに,液体窒素気相での凍結保存はさらに安定した保存に有効であることを示した.

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