日本微生物資源学会誌
Online ISSN : 2759-2006
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長野県黒姫山の「天狗の麦飯」から分離された糸状菌 Lecanicillium aphanocladii
肥後 茉由佳小島 裕貴岩月 正人田辺 智隆矢口 貴志奥田 徹糟谷 大河野中 健一
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2021 年 37 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

天狗の麦飯は,中部地方の火山帯,標高の高い地域に点在し,(藍藻類を含む)真正細菌,古細菌,糸状菌等,複数の微生物群からなる微生物の塊である.今回分離源とした天狗の麦飯は,昭和14年に黒姫山で採集され,ガラス瓶に封入されて80年間長野市内の小学校に保管されていた標本である.本研究では,この天狗の麦飯の標本から分離した糸状菌について報告する.この天狗の麦飯を希釈平板法により3種類の培地に塗布し,27℃で1週間培養した.その結果,各培地で形態的特徴の同じ1種の糸状菌のみが検出され,細菌など他の微生物は一切検出されなかった.この1種の糸状菌について,コロニー性状確認,各種顕微鏡による形態観察,3遺伝子領域に基づく系統解析を行ったところ,Lecanicillium aphanocladii であると同定した.また,本菌株の微生物培養液を用いて13種の微生物に対する抗菌試験を行ったところ,Proteus vulgaris NBRC 3167に対し弱い抗菌活性が確認された.NMR などの各種機器分析により,本活性化合物を oosporein であると同定した.

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© 2021 日本微生物資源学会
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