日本微生物資源学会誌
Online ISSN : 2759-2006
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国立環境研究所微生物系統保存施設において保存されている Synechococcus 近縁株の潜在的な遺伝的多様性
鈴木 重勝山口 晴代河地 正伸
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2022 年 38 巻 2 号 p. 63-74

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抄録

ピコシアノバクテリアは水環境における一次生産者として重要である.特に,Synechococcus とその近縁種には,大きな遺伝的多様性がある.しかしながら,多くの研究では,主に海産種から構成されるサブクラスター(SC)5.1から5.3の多様性に焦点が当てられており,それ以外の Synechococcus 近縁種の多様性の理解は進んでいない.また,国立環境研究所微生物系統保存施設では,50株以上の Synechococcus sp. と同定された培養株(NIES 株)を維持しているが,それらの系統関係は不明である.本研究では,NIES 株の2種類のマーカー遺伝子配列を取得し,系統解析を行った.その結果,NIES 株のうち,7株のみがSC 5.1に含まれたが,ほとんどの NIES 株はそれ以外のグループと近縁であることがわかった.さらに,グループ J と K という新規クレードの存在も示唆された.加えて,SC 5.1を対象に開発された分子マーカーである petB が,幅広い Synechoccocus 近縁種の系統解析に適用可能であることを示した.本研究の知見は,将来のピコシアノバクテリアのメタゲノム解析に利用できる.

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© 2022 日本微生物資源学会
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